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少年バエル 14

 

「かの魔神と相対するには、いささか戦力不足であろうな」


 凜とした声がフロッシュから放たれる。


「起きたのかい、ツァトゥグァ!?」


 フロッシュの身体が赤く変色し、頭部には耳のような突起が現れ、全身には体毛があった。

 邪神ツァトゥグァの依り代として、フロッシュは召喚された。彼自身も、かつての邪神の能力を失っているので、本来の力を取り戻すまで、使い魔の中で眠りについていたのだ。


「これしきの死骸では、アトラク=ナクアのエサにもならんな」


 バエルの使役するクモは、ツァトゥグァの従属神でもあった。

 そして、使い魔の黒猫アイルーロスも只の魔法生物ではない。猫頭の女神バステトが堕天して、魔獣へと変わり果てた姿であった。

 これがバエルの自信の裏付けでもある。

 邪神二人と、堕神が一人。

 最強のカードは、バエルの手の内であった。







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