幕間――迷子の迷子の、仔竜ちゃん?
ティル・ナ・ノーグ、妖魔の森近辺――
そこに一匹の邪妖精の姿があった。
格好だけ見れば、小学校低学年の男の子が、サンタの服を着ているような感じである。
レッドキャップ――ゴブリンの上位種であり、戦闘的な妖精だ。常に赤い帽子を被っているため、ついた名前だが、それは倒した敵の流血で染め上げられているという。
ゴブリンは妖精界でも厄介者で、醜悪な緑色の肌をした生物だ。狡猾で共食いすらする悪食。
が、そのレッドキャップは、どこかしら愛嬌があった。
サンタの格好と言っても白い色は見当たらず、全身赤一色だ。
肌も多少、浅黒い程度で、三白眼と八重歯が目つきの悪い妖精を演出している。
おそらくは、特殊な進化を遂げた個体だろう。
大木の幹に寝そべっていた赤帽子は、鼻クソをほじろうと小指を動かした時――
「くぉら! 鼻クソほじんなっ!」
どこからか待ったがかかった。声はすれども、姿は見えずという奴だ。ちょっと勝ち気そうな女性の声である。
「え〜、鼻クソほじるんがオラの生き甲斐なのに!」
「そんなのは生き甲斐とは言いません!」
「これがオラの、らいふるわーくだ!」
ドヤ顔のレッドキャップ。
「はいはい。ライフワークね――グフ様、難しい言葉使うと知恵熱出ますよー」
謎の女性の声は棒読みだ。
様付けなのに、敬意は全然払ってないようだ。
「大体、あなたは……」
謎の声がお馴染みの説教タイムに入ろうとした時――
「リサ。敵だ!」
グフと呼ばれたレッドキャップの顔つきが真剣なものになった。
「しょうがないですねー。説教は、また今度にします」
「ちびドラゴンが追われてるみてぇだ。助けんぞ!」
遠くからでも、グフの目にはすべてが見えていた。
十名にも満たない集団が。ちびドラゴンを追いつめてゆく。中には浅黒い肌をしたダークエルフの姿もあった。
ダークエルフがこの近辺にいることは、珍しいことではない。
なぜなら、領主のダズリング伯爵がダークエルフその人なのだから。
ここの領主は、ルー・フーリンを支援するマイリージャ族の族長も務めている。
黒猫王子の数少ない味方であるし、妖精騎士団の副団長が息子のレイナルでもある。
ルー・フーリンの貴重な勢力であった。
やっと3万字!
がんばれ、俺。
新キャラ、グフの名前の由来はZ公国の青いMSではございません。
リサー謎の人物?
レイナル――ダークエルフ。
これで麗子がそろえば、主要キャラは出きったはず!
そうでもないか。とにかくキャラが多いです。
競馬場くらい(笑)




