アブディエルの野望 2
神とメタトロンと七大天使の不在――
アブディエルは、これを好機と捉えた。
神意は我にあり。
そう、天界の統治者はアブディエルにこそ、相応しい。
彼は黄金宮殿前に数万の天使らを集めた。
これはアブディエルに賛同する天使たちで、彼が神に相応しいと思う者たちだった。
力天使や能天使に智天使の混成部隊がほとんどで、一部には熾天使らの姿もあった。
「皆、よくぞ集まってくれた! 実は、神が天界から居なくなって数年が過ぎている。長き神の不在――私は、神が天界を見捨てたと見ている」
ざわつく天使たち――彼らには規制された情報しか入ってきていないので、戸惑うのは当然であった。しかも、情報を留めているのは七大天使である。
しかも、今度は次代の神候補であるメタトロンさえが失踪しているのだ。七大天使は彼を探索に、下界へ降りたとの通達があった。
アブディエルは神らに憤った。
天界の放置は、反逆するに足る充分な動機だ。
今までは、メタトロンが居たから遠慮していたに過ぎない。
アブディエルであれば、天界を――天使らをほっときはしない。
それに、自身が権力を握れば悪魔との全面戦争に勝利することができるはずだ。




