雷火の爪撃 8
軍勢を覆いつくす魔法陣は、小さな魔法陣の集合体であった。
その場に居た獣人系や爬虫類系や昆虫をベースとした悪魔や、鳥類、そしてルキフグの死霊術によるスケルトンの混成軍団を魔法陣はロック・オンし、稲妻の奔流と化した雷撃が降り注ぐ!
ズガァァァアアアアン!!
雷撃が一万の軍勢に炸裂する――
致死量に至る電撃が麻痺を誘発する前に黒焦げと化し、ランダムで状態異常の猛毒が発動し、電撃の洗礼をくぐり抜けた者も吐血し、死へと至る。
かと思えば、足元から凍りつき、一瞬にして凍死する。
「「「「「ギャアアア!」」」」」
「「「「「助けてくれ!」」」」」
「「「「「死にたくない!」」」」」
さらに、悪魔どもが爆散し、阿鼻叫喚の地獄のタペストリーが展開される。
誰かが言っていた。
魔王衆とナンバーズとでは、実力差に、天と地との開きがあると。
一万の軍勢は、それを身を以て体感したに過ぎない。
スケルトンを操って、弾幕としていたルキフグが絶望の表情を浮かべる。
骸骨の眼窩からは光りが消え失せ、紡いだ言葉は風に掻き消されるかのようだ。
「なぜだ! ルキフェル卿は魔道具頼りの悪魔ではなかったのか……」




