雷火の爪撃 3
一万の軍勢と矛を交える前に、剣と槍のエキスパートと戦う破目になってしまったルキフェル。
事情を察した偵察の悪魔が、映写の魔法でエリゴールらの戦いを天空に映す。
イベントに湧く一万の悪魔の軍勢。
彼らにとって、高位の悪魔やナンバーズらの決闘は観戦に値する物である。さらに殺し合って、弱った所を叩けば、労せずして勝つことができる。
滅多にない高カードに、さらに湧く軍勢。怒号や歓声も入り混じり、さながらエキシビション・マッチの様相を呈してきた。
武器をおもむろに抜く、双翼の騎士。
「ルキフェル殿、ドール・バシュはどうした?」
エリゴールが訊いた。
「あの魔道具は、私の魔力を抑制するだけのもの。まぁ、貴様ら如き、この二本指で充分こと足りる」
「我らサタン様の両翼――いや、双翼の騎士を侮るか!」
ベリスが吠える。
「侮っているのではない。これで充分だと、言っている」
ルキフェルの右手の二本指に魔力が集う。
高純度の魔力は紫色を帯びる。さらに圧縮された魔力が、周囲に火炎と稲妻の嵐を巻き起こす。
「お仕置きだから、加減はできぬぞ。久しぶりに少し、本気を出そう」
八大魔王衆のみが有する強大で、圧倒的な魔力。
72柱の魔神ことナンバーズに籍を置く、エリゴールとベリスであったが二人とも、これほどまでの魔力の奔流に触れたことはない。
この攻撃を受け止めきれなければ、エリゴールとベリスに待つのは、死のみである。
「これが、ルキフェル殿の魔力……何と、凄まじきものか!」
「魔界の副王の名は、伊達ではないと言うことか……」
驚愕する双翼の騎士。
その時、ルキフェルの指先から火炎と稲妻の螺旋のエネルギー体が放たれた!
「喰らえ、雷火の爪撃!」




