少年バエル 13
「……なんて、なんて――おめでたい奴っ!」
呵々大笑とバエルが笑う。
ギュゾインはバエルが呪殺の苦痛から、気が触れたと思った。
「じゃじゃ〜ん、これ何だ!?」
バエルが懐から、小さなケチャップの容器を取り出す。そして、それを地面にばら撒いて吐血する振りをした。
「残念、呪殺耐性はMaxなんだよね。従って、君のしたことは無意味――じゃないよ。僕はね、呪われる度に自身を強化できるのさ!」
驚愕と絶望がギュゾインを打ちのめす。
バエルへの呪殺は彼を殺害するどころか、新たにパワーアップまで、させてしまった。ギュゾインは最期にバエルを恨めしげに見ながら消滅していった。
「いいねぇ、その視線、ゾクゾクするよ!」
だが、ギュゾインの頭部だけは、その場に残っていた。
「召喚、コロンゾン!」
バエルが召喚の魔法を発動すると、直径10メートルほどの赤い球体が現れた。その所々に無数の悪魔の顔が浮かんでおり、ギュゾインの頭部も、それへ飲み込まれてゆく。
「クックッ、この呪詛球が100メートルを越えたら、バールにケンカを売りに行かなきゃね。そして、奴に成り代わる――このパーフェクトなプランって、どうよ?」
バエルは退避していた使い魔らに、同意を求めるのだった。




