368/632
少年バエル 4
この展開を予期していたバエルは、背中のクモの使い魔を呼ぶ。
「アラクネ!」
主の意を察したアラクネが、拘束の網を次々と吐き出す。
バインド・ネットは、槍や剣を構えた下級悪魔数名を拘束する。
抜け出すには多少の時間を要するが、フロッシュには、その足止めの一瞬で充分だった。
またもや酸弾が放たれるが、今度は避けられず、5体ほどの悪魔が蒸発する。
残りの左肩の黒猫は、うずうずと主の合図を待っている。
「お前も遊んで来い、アイルーロス!」
嬉々として黒猫が、下級悪魔の集団の中に躍り込み、猫パンチを食らわすと、頭部や腕が爆散した。飛び散る鮮血を、アイルーロスが舐めるとニャアとかわいく一鳴きした。
「かわいいけど、行動がかわいくないというギャップが良いね!」
大将のギュゾインは、この異様な光景にのまれていた。まるで、八大魔王衆と相対したかのような錯覚を覚えていた。




