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少年バエル
混沌となった万魔殿。
魔王衆以下のナンバーズどもは、序列を上げる行為に躍起になった。
魔界のカリスマであるサタンの死の影響は甚大で、万魔殿のありとある亜空間では、決闘や虐殺や裏切りが横行し、一時期、血のカーペットがタペストリーのように敷かれ、死体が乱雑に地獄絵図を描いていた。
そんな中、ベルゼビュートほどの背丈の黒髪の悪魔が口笛を吹きながら、万魔殿を散歩していた。
両肩には、使い魔である黒猫とカエルが鎮座している。その上、背中にはクモが負ぶさっていた。
使い魔なのか、懐かれたのか、テイムしたのか分からない。
少年はカッターシャツの首元を、蛇をネクタイにして飾り、スラックスのポケットに手を突っ込んでいる。
瞳の色は赤だが、見る角度によっては黄金色にも銀色にも見える。
彼の名は、バエル。
東の王・バールのクローンである。




