ナンバーズの戦い 15
「ウヴァルよ、前々から気に食わぬ奴であったが我が愛妻を口説くとは、どういう了見だ?」
ゴモリーを降ろし、人型へと変貌したパイモンが言った。
「ああん! 夫の嫉妬が嬉しい!」
身体をくねらせながら、ゴモリー。
フラウロスは、どちらにも呆れ顔だ。
不倫や魔界での恋愛関係など、どうでも良い。それよりも、ウヴァルに決闘で負け、隷属する屈辱が耐え難かった。
悪魔同士の決闘は、大抵はギフトの能力差によって決まる。
今回は相性が悪かった。
炎術を操るフラウロスに対して、ウヴァルは
水と雷の能力を使い、赤豹を感電させ、勝利した。ナンバーズの座を維持するだけでも大変なことだが、ウヴァルは狡猾な悪魔で、常にその席次をキープしていた。
ウヴァルは今回の騒動を期に、一つでも多く、序列を上げる腹づもりなのだろう。
「落ち目のあなたと、飛ぶ鳥を落とす勢いの私とでは、どちらが魅力的でしょうね? 今は、夫人の目はあなたに向いているが将来的には、どうなるでしょうな」
ウヴァルは自信満々に、ニヤリと笑った。
いつの世も、女性は強い男に惹かれるものだ。パイモンにさえ勝てば、彼女の見方も変わるだろう。




