354/632
ナンバーズの戦い 12
「久々に万魔殿に来てみれば、荒れていることよ」
ゴモリーの言う通りだった。
大廊下は、下級悪魔の死体で絨毯を形成しており、清掃用の腐食スライムを動員しても追いつかないほどである。
「やはり、魔界のカリスマであるサタン様を失った影響か。あの方は、存在しているだけで抑止力であったからな。この有り様では、迂闊に夫とバカンスにも行けぬな」
ゴモリーは戦いが嫌いだ。
そんな暇があれば、旦那であるパイモンと旅行に行く方が良い。
恐妻ではあるが、彼女は彼女なりに夫を愛している。
そう、彼女の人生ならぬ悪魔生には愛が必要不可欠であった。




