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ナンバーズの戦い 11
そして、今また万魔殿では新たな序列者同士の戦いが始まろうとしていた。
宮殿内の大廊下は、とてつもなく大きい。
なぜなら、悪魔同士の決闘が、いついかなる時に起きても良いように造られているのだ。
その廊下内の中央を、大きなラクダにまたがったインドの貴婦人であるかのような悪魔が歩を進ませている。
序列56位の悪魔公爵ゴモリーである。
グレモリーとも呼ばれるが、本人的にはゴモリーという響きが気に入っている。
女性の姿の上位悪魔は少なく、魔界でも希少である。
ゴモリーには『千夜一夜物語』から、抜け出てきたかのような佇まいがあった。
まずは額にいただく公爵冠に、顔の半分を隠したベール。
上衣にはチョリという服を羽織り、レヘンガと呼ぶスカートを履いている。
そして、ネックレスや腕環やアンクレットには、ふんだんに純金が使われ、彼女は貴婦人然として、ラクダに騎乗しながら現れ出でたのだった。




