一週間前の出来事 9
(こいつで序列25位か。戦ってみなければわからんだろうが、俺の敵ではないな。強者のプレッシャーを感じない)
グラーシャ・ラボラスが名乗ったので、ルー・フーリンも名乗り返す。
「俺の名は、ルー・フーリン。妖精界ティル・ナ・ノーグの王子だ。で、その八大魔王衆になるためには魂を幾つ集めなくてはならぬのだ?」
「正直、わからぬ。上質な魂との巡り合わせによるだろうな」
「なるほど、上質な魂は悪魔に強大な能力を与えるのだな?」
「その通りだ。わかっているではないか猫王子」
まるで、東京にある地名の呼び方だ。
「魔界には、決闘というシステムがあると聴く。確か、序列者同士が戦うと、序列がそっくりそのまま入れ替わるらしいな」
「そうだ。猫のくせに中々、博識ではないか」
このルー・フーリンの知識は複数いる師匠らに、もたらされたものである。
もちろん、魔界と戦闘になるであろうことも想定したシミュレーションを何度も繰り返している。
ティル・ナ・ノーグに一度だけ、魔界の軍団が進出してきたことがあった。
大悪魔マモンによるカーバンクル狩りだ。
額に宝石がある有石獣は、宝石コレクターであるマモンの関心を特別刺激した。
マモンは魔界軍を私物化し、カーバンクルを乱獲した。有石獣らは絶滅し、ティル・ナ・ノーグから存在が消えた。
マモンは軍隊を私物化した罪で、魔王衆の資格を剥奪され、蟄居となった。
たかが悪魔どもの私利私欲のために、妖精王治めるティル・ナ・ノーグが荒らされるなど、あってはならない。
興味本位で妖精界に手を出す愚か者は、その報いを受けなければならないだろう。
王族な猫の手によって。
短くてすいません。
休日ですが、用事があるので。




