345/632
ナンバーズの戦い 3
「なるほど。安い挑発に乗りやすく、気が短い。器が知れるというものだ」
アンドロマリウスの手が止まる。なけなしの自制心を発揮したのだ。
相手のペースに乗ってはいけない。
戦いのセオリーを思い出したマリウスは、薄く笑う。
「感謝するアンドラス。どうやら、憎き貴様を殺せる興奮に支配されていたようだ」
すらりとアンドロマリウスが、黒の長剣を抜いた。アンドラスのレイピアに対抗した、クロウ・ソードである。
呆れ顔のアンドラス。
「まったく、君って奴は――僕の方が強いかも知れないって、微塵も思わなかったのかい?」
だから、ミジンコ並みの脳みそなんだね。と発したい衝動をアンドラスは堪えた。
呼び出して、個別にケンカを売ってくる分には好感が持てる。例え、相手の能力を見くびっていようとも。




