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ナンバーズの戦い 2
アンドロマリウスは万魔殿の自身に割り当てられた空間に、アンドラスを呼び出していた。
その際、首を良く洗っておくように再三に渡って、忠告されたがアンドラスの冗談と思い、気にも留めなかった。
今、彼は移動手段として黒狼を利用していた。彼女の名は、ジル。アンドラスの恋人兼ペット兼タクシー代わりの魔獣である。
「その黒狼も戦いに参加するのか?」
アンドロマリウスが訊いた。
彼は、魔界の大悪魔マモンの弟アンドラスが虎の威を借る狐ならぬフクロウだと思っている。序列最下位のアンドロマリウスは、常に序列に対してコンプレックスを抱いていた。
「まさか。彼女は単なる付き添いで、君が死んだ場合、遺体を処理してくれる大事な役目も担っているだけさ」
「フッ、気が早いなアンドラス。自身の敗北は考えないのか?」
「万年、序列最下位の君が僕に勝とうなどと片腹痛い。せめて、ナンバーズを後、二人は連れて来ないと勝負にさえならないよ?」
「アンドラス――貴様ッ!!」
アンドラスは、アンドロマリウスの逆鱗に触れた。いや、それは意図してのものだった。




