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幕間――奪いし者、奪われし者 19
「オセ、一つ貸しよ」
ベルゼビュートの命で、オセに回復魔法を掛けるレオナール。
「すまん。恩に着る」
オセはガルフォンとの戦いを振り返っていた。
天空の王者グリフォンと一戦を交えたオセは、足場の重要性を感じていた。ルー・フーリンであれば、ラグランジュ・ポイントの魔法を使い、時間と空間に干渉されずに宙に足場を作ることが可能だ。
だが、オセは少ない魔力で足場を構築し、双剣をがむしゃらに振るうのが関の山だ。いつかは空中に自在に足場を構築する魔法を修得し、主であるベルゼビュートのために、その能力を振るいたい。それがギフトを持たぬ自分を拾い上げてくれたビュートへの、恩返しになるだろうか?




