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幕間――奪いし者、奪われし者 18
「ウララララッ!」
赤いグリフォンが駆け抜ける。
地上すれすれを低空飛行しながら、ベルゼビュートに体当たりを仕掛けた。
ビュートはグフのくちばし目がけ、蹴りを放つ。
吐血したグリフォンに、金髪の悪魔は追撃の蹴りを左右に見舞う。
アウルベアの剛力を宿したキックが、グフを翻弄する。
「よさぬかっ、魔界の悪魔よ! 貴様の狙いはわしであろう。孫には、手を出すな!」
ガルフォンは、すでにグフの母である最愛の娘・グリンダを病で失っている。この上、グフまでも失うのは耐えられない。たとえ、命に替えてもグフだけは生かさなくては。
それだけがガルフォンのたった一つの願いであった。




