サブナック
某の名は、サブナック。
魔界では、稲妻侯と呼ばれている。
かつての朋友カイイリエルが裁天使に選ばれ、嫉妬のあまり堕天使となった。
本来ならば、軍神メタトロンと供に悪魔狩人として肩を並べ、戦いの日々を送っていたはずだ。
だが、メタトロンは某を選ばなかった。
からくもカイイリエルには勝利したが、奴が得物を槍に持ち替えた途端、連敗を喫した。
軍神の教えでは、某は剣の間合い以外は防御が崩れやすいとのことだった。
だが、試合で勝った某が選ばれずに、カイイリエルを選んだことに納得は出来なかった。
堕天してからも剣の修業に明け暮れ、新選組の沖田総司の魂を得てからは、武御雷というギフトに目覚め、序列を上げるに至った。
魔界では、サタン様主催の御前試合で剣帝アスモデウスに片膝をつかせるまでに剣技を昇華させた。
が、バールゼフォン殿の指示で訪れた妖精界の赤帽子――レッドキャップのでこピンなる奇妙奇天烈な体術で、敗北を喫した某は驕りを捨て、宝物庫にあるという折れぬ魔剣アラストールを調達するよう、友・ビフロンズに頼み込んだ。
グフとの再戦に備えて、某は己れを研ぎ澄ますのだった。




