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幕間――奪いし者、奪われし者 7
俺の名は、オセ。
ベルゼビュート様に忠誠を捧げる、双剣を使う豹頭の悪魔だ。
今回は、ビュート様の要請でティル・ナ・ノーグに来ている。
目当ては、グリフォンの飛翔能力だ。
我が主は、悪魔や魔物などの細胞から、その能力を得ることが出来る。さすがに、オリジナルの能力には及ばないが、恐るべきスキルである。
獣人系の悪魔である俺には、ギフトが発現しにくい。が、ビュート様はそんな俺に価値を見出してくれた。その思いに報いたい。
相棒のレオナールも、同じ思いだろう。
奴は高位悪魔バフォメットと魔女の息子らしいが、特別扱いされる半人半魔という立ち位置で悩んでいた。
それをビュート様は、レオナール自身の能力のみを高く評価し、またたく間に奴の忠誠を勝ち得ていた。
ビュート様自身は、大公アスタロトと蝿の王ベールゼブブ殿の息子で、魔界のエリートだが気さくな方だ。少々、ワンマンな所があるが尊敬に値する主である。




