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幕間――メタトロンの真実 15
「削れ! 削れっ!」
ウリエルの怒号が響く。
敵は、クロウ・クルワッハとリンドブルムの特徴を持つドラゴン!
「クソッ、パヌエルが右手を持ってかれた!」
「ラファエル! 回復役のお前が頼りだ!」
炎槍レーヴァテインを振るいながら、ウリエルが指揮を取る。
この戦いでは、彼に指揮を取ってもらうのが適任だ。私は前線を退いて久しい。
大天使長ミカエルともあろう者が、この体たらく。いっそのこと、ガブリエルの奴めにこの地位を譲ってやろうか。
くくく、いやそうな顔をした奴が目に浮かぶ。
サタンを討伐したから、大天使長という地位が廻ってきた。
そうではない。
私は、サタンを倒すためだけに創られた存在。
奴の、太陽の光に弱いという弱点特効の能力を有しているだけの話だ。
七大天使が一丸となっても、サタンを地下へと封じ込めることしか出来なかった。
今また、邪竜クルワッハヴルム――便宜上、こう呼ぶことにする――も封印することしか無理だろう。
何せ、堕天したメタトロンが相手なのだ!




