幕間――剣帝と将軍 7
ハゲンティの思惑は、万魔殿内にいる魔王衆を殺害し、序列を上げ、魔界の大悪魔に名を連ねることだった。
ゆえの親衛隊という高位悪魔抹殺部隊を引き連れての、巡回でベールゼブブを見つけた次第である。
この人数ならば、いかな魔王衆と言えど制圧は可能であろうとの皮算用であった。
殺気のシャワーを浴びながら、ベールゼブブは足元に無数の蝿をまとわりつかせ、宙に浮いた。
すると、どこからともなくブブブブブという蝿の羽ばたきの音が聴こえ出した。
「ハゲンティ、人間界にはピラニアという肉食の淡水魚が存在するのを知っているか?」
おもむろに蝿の王が訊いた。
「それが、どうした!?」
ピラニアぐらい知っている。
だが、それが何の関係があると言うのか。
「ギフトは常に進化する。私の、このかわいい蝿どもにピラニアの特徴と血に異常に反応する習性を取り込んだ」
「だから、それがどうしたと言っている!」
激昂するハゲンティに、対照的にニヤリと笑うベールゼブブ。
ハゲンティ率いる一団のほとんどは、牛頭にコウモリの羽や昆虫の羽根を有しているものが多数を占めていた。後は、ちらほらと獣頭や人型の中級悪魔がメンバーだった。
「こういうことだ!」
ベールゼブブが右手を一振りすると、突風が巻き起こり、親衛隊のほぼ全員にかすり傷をつけた。
「喰らいつくせ〈ピラニアン・フリーゲ〉!」
刹那、ベールゼブブの漆黒のジャケットが血に飢えたピラニア蝿と化し、ハゲンティの軍団に襲いかかった!
後で、書き足します。
すいません。風邪でダウンしてました。
ピラニアはインディオの言葉で、歯のある魚。
フリーゲはドイツ語で、蝿って感じです。




