幕間――奪いし者、奪われし者 6
「グフよ。お前は、ここで待っておれ」
とりあえず、アベル草原に向かわなくては。
グフは、置いて行く。
かわいい孫じゃからな。
「ジイちゃん、オラも行くだ。何か、胸がザワザワするし、悪いことが起きそうな気がするだ!」
「心配するでない。腐っても、わしはグリフォンの王――大抵の者では、傷一つつけられまいて」
グフは納得していない顔だ。
嘴が変な方向に向いてるので分かる。
もし、アベル草原に降り立った者が、わしよりも強者ならば、なおさらグフを行かすわけにはゆかぬ。
グリフォン族の長老としても、グフの祖父としても、わしが偵察に行くのが最善であろう。
「グフには、このグリフォンの谷を守るという役目があるではないか」
「谷を守るだなんて、そっただこと……」
「わしの孫なら、できる! 期待しておるぞ、グフ!」
「分かっただ。オラが、この谷を守るだ。ジイちゃん、任しとけ!」
グフは、おだてに弱い。
チョロすぎて将来が心配だが、今はこれで良い。
何があろうと、グフだけには手出しはさせぬ。
娘・グリンダの忘れ形見。
ジイちゃんは、お前を愛しく思う。
出来得るなら、孫の成長をずっと見守り続けたいものだ。




