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幕間――八大魔王衆 8
私ことダンタリアンの仮面には、秘密がある。
すべての仮面に呪いが掛けられており、付け替える度に、寿命が一年削られるというものだ。
悠久の時を生きる我ら悪魔にとっては、大した時間ではないが、使用頻度の高い私にとっては死活問題になる。
初期の頃の私の能力は低く、序列71位を手に入れるまでに、数千回も仮面を付け替えた。
是が非でも、魔王衆の地位を手に入れたい私には、後どれだけ寿命が残されているか分からない。
今でこそ、百面相の悪魔や叡智の主と呼ばれているが、当時の私は、みじめで小さな存在だった。
やっと、ここまで這い上がって来たのだ。
アスタロトの従者如きに負けるようでは、魔王衆となる資格など無かろう。
たかが小娘如き、蹴散らしてくれる。
悪魔フォルネウスを召喚したようだが、ナメられているようだ。
弱い悪魔は、様々な手段で勝ち上がろうとする。
私の場合は、それが呪いを施した仮面で能力を引き出すことだった。
が、過ぎた能力には代償が伴う。
私の寿命を幾ら提供すれば、魔王衆に辿り着けるだろうか?




