幕間――鬼句一文字 6
「了承した」
イルマとは、ティル・ナ・ノーグで遭ったウォーハンマーの娘だろう。
世間とは、狭いものだ。
計らずも、イルマリネン親子と縁ができてしまった。
が、アスタロト卿はイルマリネン殿を始末するという。
それで良いのか?
これはイルマリネン殿を救済するための神の計らいでは?
「どうした、サブナック――イルマリネンを斬れ!」
ここは、心の声に従おう。
「某に、イルマリネン殿を斬ることはできぬ。代わりに卿の配下となろう」
アスタロト卿に仕えることは、運命なのかも知れぬな。
「ふざけるな。私は斬れ、と言ったのだ」
アスタロト卿は某に対して、邪眼を発動させた。
大悪魔アスタロトの威圧。
殺されるやも知らぬが、今のアスタロト卿に従う気は毛頭ない。
敵わぬまでも一矢報いる。
「おいおい、サブナック――オレを庇ってくれるのは嬉しいが、テメェにはメリットがねぇだろ?」
「損得ではない。心の声が、そうしろと命じるのだ。それに、大悪魔アスタロトとの手合わせ――武人ならば滾らずにいられようか!」
「かーっ、戦闘狂ってか。好きだねぇ、そういうの。面白え、オレの運命はサブちゃんに託した!」
何だか一瞬、人間界の演歌歌手になった気分に陥ってしまった。これはイルマリネン殿の精神攻撃なのか!?
アスタロト卿の邪眼が光りを失う。
矛を収めて、くれたのだろうか?
「合格だ、サブナック――悪いが、貴様を試した。八大魔王衆の私を相手に一歩も引かぬ、その姿勢――気に入った。良かろう、イルマリネンの延命を認めよう」
ニヤリとアスタロト卿が笑う。
某は、その笑顔に底冷えしたものを感じた。
すいません。立て込んでて更新遅れました。
m(_ _)m
後で、書き足します。出先なので。




