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幕間――折れぬ魔剣 11
ゼストとリオレスの二人は、仲間であるアルカンサスが嬲り殺しにされる一部始終を見ていた。
三人掛かりでも、アラストールに傷一つ負わすことができない。
不甲斐ないが、それ以上にアラストールの醸し出す禍々しさに気圧されていた。
馬頭の悪魔の気が、オークに向いてる間に応援を呼ばなくては。リザードマンは、ワーウルフに目配せし、走り出す。
二人同時に違う方向へ向かえば、どちらか一方が宝物庫の外へ辿り着けるだろう。
「おっと、どこへ行こうってんだ?」
リオレスの右手首がアラストールに掴まれる。
縮地ではない。
アラストールは強靭な肉体に任せて、跳躍して一気に距離を詰めたのだった。
「援軍を呼びに行こうとしてたんだろ? 構わねぇけど、ただ逃がすんじゃ芸がないな」
ニヤリとアラストールが酷薄な笑みを浮かべる。
次の瞬間――
スパッ!
魔剣が、リザードマンの左足のアキレス腱を切り裂いた!
「グワァァ!」
「久しぶりにやるか。アキレスゲームの始まりだ。今から五分後に、テメーを追いかける。それまでに、逃げられるとこまで逃げな!」




