幕間――折れぬ魔剣 8
「ギシャシャシャ、久しぶりのシャバだ。たっぷり遊ばせてもらうぜ!」
オレはアラストール。
サタンにケンカをふっかけに来たが、ロイヤルガードの悪魔、エリゴールとベリスに阻止された。確かにアイツらは強い。今のオレでは、太刀打ちできない。気づいたら剣の中に封印されてやがった。
オレを盗みに来た悪魔、ビフロンズの死体を操作してサイクロプス型の中級悪魔を瞬殺してやった。
ぞぶり、という肉を抉る感触がたまらない。
断末魔の叫びを上げさせるのも、大好きだ。
生命を奪う快感ってのは、どんな麻薬より強力だ。人間界のヘロインってのも試したが、殺人――まぁ、人っつうより悪魔なんだが――の快楽には及ばない。キメたら、英雄みたいになれるっつうヒーロー・インが語源らしいが、オレは麻薬より流血が好みだ。
オレはロプスの首筋に噛みつき、エネルギーを摂取する。
オレのギフト〈バンパネラ〉は吸血することで、ステータスを上げることが可能だ。さらに、死肉を喰らうとギフト〈ブルコラカス〉で、組織を再生できる。
この能力は上手く使えば、無敵に近い。
ロイヤルガードの剣の達人、紅のエリゴール。槍の達人、蒼のベリス。この二人には、貸しがある。
ちゃんと、借りは利子をつけて返さねぇとな。
そのためには、ロプスから搾り取った赤ワインで渇きをいやさねぇとな。腹も空いてきたし、あのアルカンサスってぇ、イノシシは美味そうだ。
ロプスの血肉を取り込んだオレは、生前の姿を取り戻していた。
大悪魔アラストールだった頃の、肉体を。




