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猫とピアス 11

 

 ルー・フーリンのオモチャのように見える剣が膨大な熱を伴う。

 さらに、自身の強大な魔力を乗せた必殺の一撃が狙い過たず、バック・ベアの蛇体に吸い込まれる。

 炎獄の魔剣と化したフラガラッハの攻撃は、弾かれることなくバック・ベアに命中し、全身を焼き焦がす!


 ガギャアアアアア!


 断末魔の叫びを上げながら、バック・ベアは生物としての機能をほどなく停止した。

 辺りには肉の焼け焦げた匂いが立ち込め、瞬時にルーはエアリアルの魔法で匂いを吹き飛ばす。

 不安定だったティル・ナ・ノーグと人間界の境界が閉じ、黒猫は安堵の息をついた――のも束の間。


「ルー様、どうしてリーズを頻繁に呼び出してくれないんですかっ!」


(いや、命令を拒否るし、すぐ俺に触ってこようとして不気味だから、呼ぶのをためらうは仕方ないだろう)


「もっと、ルー様をモフモフしたり、クンカクンカしたり、ペロペロしたりしたいのにっ!」


 願望ダダ漏れリーズに引きまくる黒猫は、とっさに強制送還の魔法陣を起動する。


「と、とにかくご苦労だったリーズ――帰って良いぞ。てゆうか、帰ってくれ!」


「ルー様、冷たくてイケズ、でも、そんなルー様も素敵……」


 言い終わらぬ内に、リーズは送還の魔法陣に吸い込まれていった。


(次は、リーズを使い魔せん!)


 ルーは心の中で、固く決心した。

 バック・ベアの死体は、討伐証明として亜空間に放り込み、黒猫はやっと一段落ついた。

 置物のように、じっとしている京子を振り返り、ルーが厳しい視線を向けた。


「さて、人間の娘――お前には聞きたいことが山ほどある」


(こちとら、聞きたいことは山ほどあるっての!)


 お互いの胸中は、同じなようだ。






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