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幕間――大悪魔アスタロト 2
血の匂いと醜悪な歪んだ魂を感じる。
どうやら、人間の女に喚ばれているようだ。
白煙と共に現出した私の目の前にあったのは、裸体で描かれた魔法陣だった。いずれも若い女で、容姿も優れているが、瞳に光はなく、どの少女も事切れていた。
近くには、若作りした召喚主であろう、女が血まみれの白いバスタブから、私の動向を窺っている。
これほど、召喚の儀式に傾注している人間も初めてだ。よほど、叶えたい願いが強いと見える。
「これはこれは、手厚い歓迎だな」
「貴様のために、これほどの儀式を行なったのだ。気に入ったか、悪魔!?」
「とても、お気に召したよ。ええと、レディ――」
「エリザベート。エリザベート・バートリじゃ。伯爵夫人の称号を持っておる」




