炎帝竜のピアス 31
ファイヤードレイクは、火炎による攻撃に特化した種だ。
大抵の生物は、火に弱い。
ファイヤーブレスは、かなり有効な攻撃手段だが、絶対というわけではない。
炎を無効化するモンスターもいるし、スキルも存在する。最大の攻撃手段を封じられたクリムゾンが打つ手は、一つしかない。
つまり、物理攻撃である。
炎帝竜の蛇体で、ベルゼビュートを拘束し締め上げる。ドラゴンの牙や爪による攻撃もあるにはあるが、ファイヤードレイクは近接戦闘向きの種ではない。
クリムゾンは最大火力で、ベルゼビュートを強襲する。
火炎を防御するベルゼビュート。
「バカの一つ覚えに、ブレスを吐きまくるか。クリムゾン――貴様の種火では、俺様を燃やし尽くすことはできぬわ!」
吠えるベルゼビュートの全身に、クリムゾンが蛇体を巻きつけ、拘束する。
とぐろ状態となり、炎帝竜はベルゼビュートを圧死させんと、徐々に締めつけをきつくする。
「そのブレスはフェイクだ。貴様を拘束するための布石に過ぎぬ!」
生きた万力が、ベルゼビュートを粉々にせんと牙を剥く。
全身を粉砕骨折させるつもりなのだ。
「がああああっ!!」
ベルゼビュートの絶叫が、周囲に響き渡った。




