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幕間――盗人 ミシャンドラ

 

 魔界にはグリモワール辺境伯という役職がある。

 表向きには侯爵として扱われるが、辺境伯は魔界を牛耳るほどの実力者を遠ざけておくために設けられた。

 その対象は72柱の魔神の筆頭たる、東の王バールである。

 日本と深く関わりのある魔神で、東方を支配する。彼の契約者は、織田信長だという噂だ。

 意外なようだが、悪魔は人間界に詳しい。

 信長のような苛烈で上質な魂は、契約者であるバールに強大な能力を与えてくれた。ゆえに悪魔どもは、人間界にアンテナを巡らし、上質な魂を手に入れようと情報収集に余念がないのだ。

 バールは、バエル、またはバアルとも呼ばれる。

 本体は、王冠を被った老齢の男と、猫と蛙の三つ首を有し、そのケルベロスのような頭部を支えているのは蜘蛛の脚だ。

 見るからにおぞましい悪魔だ。

 そんな彼には、二人の息子がいる。

 一人は、魔界の帝王たらんとするバールゼフォン。

 もう一人は、自称・魔界最強の男ミシャンドラである。

 魔界の帝王を目指すのはバールゼフォンとベルゼビュートの二人だ。血筋的にも申し分ない。

 だが、ミシャンドラは普通の悪魔ではない。悪魔と人間とのハーフである魔人という存在なのだ。

 純粋な悪魔でないミシャンドラは、半人半魔(ニスナス)という蔑称で呼ばれている。

 ミシャンドラは全身蒼づくめの羽根を服の意匠にした吟遊詩人の姿をしていた。

 巻毛の黒髪にトパーズの瞳。

 腰には、銀色のリュート。

 優男に見え、とても魔界最強という風格はない。

 そのミシャンドラは現在、バールの辺境砦の地下の保管庫へと忍び込んでいた。

 目的の物は、一冊の赤い本――アッピンの書である!

 すべてのページは高位悪魔の皮で作られており、装丁は炎帝竜ファイヤー・ドレイクの鱗で飾られた禁書である。

 サイズは百科事典くらいだろうか。

 ミシャンドラは、しげしげとアッピンの本を眺める。

 この本は、魔界の勢力図を塗り替える切り札だ。

 なぜなら、この赤の書には72柱の魔神のほとんどの真の名が記されているからである。

 真の名を唱えられた者は、召喚者の奴隷と化す。

 ゆえにアッピンの本を手に入れた者は、魔界の半分を入手できたも同然だ。

 だから。バールは来るべき時のために、アッピンの本を保管していたのである。

 魔界の最下層には、暗黒界(クリフォト)と呼ばれる場所に古代の魔神たちが存在している。

 彼らは魔界の支配階級に属さない、イレギュラーな魔神たちであり、常に自由だ。

 魔女と夜通しサバトを繰り広げる黒山羊の大悪魔バフォメット。

 人間の赤子を生け贄に要求する牛頭の魔神モロク。

 怠惰で醜いアリオッチ。

 無価値という意味を持つ悪魔ベリアル。

 恋人を天使に殺されたアルマロス。

 様々な、暗黒界に身を潜めた実力者たちが住まう、もう一つの魔界――


 ミシャンドラは悩んでいた。

 アッピンの本を奪い、暗黒界に潜伏するか――それとも、ティル・ナ・ノーグへ逃亡するか。

 どっちでも良い。

 バールに一泡吹かせるためなら、何だってやる。

 それが長年、バールに利用されてきたミシャンドラの出した結論だった。

 ミシャンドラは、この日アッピンの本を盗み出し、バールゼフォンの配下らに追われることとなる。


「オレっチは悪魔から盗人にジョブチェンジしてやったぜ!」








やっと、2万文字、道のりは長いZ (ΦωΦ)


酒が飲みたい。


メーカーズマークのロックをあおりながら、


ペットショップ・ボーイズのニューヨーク・シティ・ボーイズを聴く。


何て、贅沢(≧∇≦)/


ぶくぶく茶釜と氷菓お願いします。


違った!


ブクマと評価でした!









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