幕間――八大魔王衆
かつて、ソロモン王が封印した72柱の魔神――
アッピンの本に、真の名を記された者は彼に使役されていたが、人種の寿命は短く、ソロモンの死によって『赤の書』は失われていた。
東方の魔神バールは、あらゆる手段を用いてアッピンの本を回収したが、それは半人半魔の息子・ミシャンドラの手によって、盗み出された。
決闘や下剋上によって、序列は常に変動する。
72柱の魔神の上位八名で構成される、ハ大魔王衆も然り。
現在の魔王衆の筆頭は、バールである。
契約者は、第六天魔王・信長だという噂だ。
二位は、魔界の副王ルキフェル。
サタンに次ぐ、ナンバー2である。
契約者は不明。
三位は、蝿の王ベールゼブブ。
アスタロトの元、夫で、ベルゼビュートの父親である。契約者は不明。
四位は、紅の女帝アスタロト。
使い魔は、炎帝竜クリムゾンであり、半陰陽の身体を持つ。
契約者は、エリザベート・バートリ。
そして、ナポレオン。
この四名は、魔界の四大実力者といわれている。
最も、アスタロトは色じかけでサタンを籠絡したと思われている。
五位は、猛虎将軍マルコキアス。
奈落の大剣タイラントの持ち主で、武人。
契約者は不明。
六位は、火炎魔神アスモデウス。
色欲を司る。剣帝。
七位は、魔界の蝶サルガタナス。
アスタロトの友人でもある。
八位は、バールゼフォン。魔神バルベリトを下して、現在の地位に就いた。
以上が、現在の八大魔王衆である。
いずれも、能力のある大悪魔らが在席している。
が、地下の暗黒界クリフォトにも、魔王衆に匹敵する実力者たちが、数多く存在している。サタンの統治が及ばない地下では、古代から生き続ける魔神らが眠りについているという噂が、まことしやかに流れていた。
アッピンの本を手に入れて、魔界全土を統一するものは、果たして現れるのだろうか。




