幕間――堕天使アスタロト 13
アスタロトはゼラキエルを殺した後、大樹を見つけ、その幹の上で食事を摂った。
漆黒の長髪は蛇と化し、ゼラキエルのバラバラにした身体を串刺しにしていた。裁天使の首から滴り落ちる血を飲み、エネルギーを摂取する。
メデューサ・ヘアで食事を取る内、天使の眼球に凝縮した魔力が存在し、効率良く良質なエネルギーを取れることが判明した。これにより、アスタロトは血と眼球を入手せんと、様々な手段を講じるようになる。
アイアン・メイデンと呼ぶ拷問器具がある。
聖母マリアを象ったとされる、人型の鉄の入れ物の中は、鉄製の尖った針が哀れな犠牲者を串刺しにし、底には血が溜まる仕掛けになっている。
今日の獲物は、若い村娘だ。
先ほどまで、泣きわめいていたが大人しくなった。
アイアン・メイデンの下方からは、バスタブに血が流れるようになっており、エリザベートは処女の血で一杯の風呂につかり、手のひらで乳液のように血液を塗りたくった。
「まだまだ、若さを維持するためには大量の処女の生き血が必要ね。もっともっと、処女を連れて来るのよ。分かったわね?」
エリザベートは側に控える執事に言った。
すでに、犠牲者は百人を超えていた。
主の狂気から逃れられず、執事は力なくうなずいた。
「御意……」




