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炎帝竜のピアス 28

 

「醜くも美しい。パーフェクト・キメラと言った所か」


 ルシドラシルの樹上で、アスタロトがつぶやく。

 観戦に飽いた彼女は、あくび一つすると空中を歩き出す。


「アスタロト様、どちらへ?」


 ツインテールのゴスロリメイドが訊いた。


「思ったより魔力を使い過ぎた。回復するまで、一眠りするとしよう」


「もう、スカルキャッスルはグチャグチャですよ?」


「隠れ家など、無数にある」


 ニヤリと笑うアスタロト。

 魔界の帝王になるのならば、複数の拠点を確保しておくくらいには用意周到さが必要だ。隠し玉は多ければ多いほど良い。それにベルゼビュートの教育は順調だ。

 ベールゼブブが本腰を入れて魔界を制覇するまでに、アドラメレクのような手駒を増やすため、他の悪魔との決闘を仕掛けても良いかも知れない。


「では、アスタロト様……この期に、しばしお暇をいただきたく」


「どうした? 人間界にスイーツでも、仕入れに行くのか?」


「いえ。これからも強くなられるアスタロト様のお側にいるためにも序列を上げておきたいと思いまして」


「良いだろう。して、相手は誰だ?」


「魔王衆に一番近い、お方に決闘を申し込みます」


「ほう、ダンタリアンか。百面相の悪魔が相手とは面白い。精々、がんばるのだな」


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