幕間――堕天使アスタロト 7
裁天使とは、戦闘の能力に長けた者をあらゆる階級から選りすぐったエキスパートらで構成された集団である。
アスタロトの眼前に現れた裁天使ゼラキエルも、メタトロンが設けた狭き門を突破してきた天使であり、ロンギヌスの槍の使い手だった。
ロンギヌスの槍はキリストを刺した槍として有名だが、本来はエンリュミオンソードの代わりとなる錬金武器である。大気中のエネルギーから錬成されるが、強度としてはアダマンタイトと同等であり、滅多なことでは壊れない。
錬成された武器の強度は、天使の魔力などの個体差に左右される。
アスタロトはゼラキエルを見つめる。
裁天使はアスタロトの視線に寒気を感じた。
が、歴戦の勇士であるゼラキエルは、自身が直感的に感じた恐怖を押し殺した。
(はぐれの堕天使か? 武器は持っていないようだがギフトに目覚めていれば、多少、厄介な事態になるやも知れぬな)
通常、天使は武器を錬成するピグマリオン・マジックしか修得していない。逆にギフトに目覚めた堕天使や悪魔の方が、高い戦闘力を有していることが多い。しかも、ギフトは戦闘の最中に進化する事例がほとんどだ。
多少の魔法攻撃を天使は行使できるが、覚醒した悪魔には遠く及ばない。
ゆえに、天使はチームや小隊を作り、悪魔の殲滅に当たる。
強い悪魔ほど、天使を殺し、彼らから生体エネルギーを奪って、ギフトを進化させている場合が多かった。
むろん、後に大悪魔と呼ばれる彼らも初期ギフトとは思えない進化を遂げた個体も、ままあった。
後で、書き足します。




