209/632
幕間――堕天使アスタロト 5
「クハハハハ、堕天するだけで、このような強大な能力が得られるなら、悪魔に変化した場合は、どうなるか楽しみだな」
ふと、自身が裸であることに気づいた彼は、髪を巻きつけて、仮の衣服とした。どうやら、まとっていた白い天使の上衣はアナコンダの消化液で溶けてしまったようだ。
「素晴らしい。あの生物から取り入れた能力の検証もせねばならぬな」
漆黒の両翼を生やしたアスタロトは、しばし勝利の余韻に酔いしれた。
「しかし、髪を巻きつけただけでは、みすぼらしいな。ふむ、能力で何か着る物を作るか」
アスタロトは体内に眠る能力を探り、蛇の鱗を全身に生やす。次いで、動きを阻害する部分の鱗を抜き取り、簡易的な鎧とした。
「これならば、不意の戦闘でも耐えられるだろう」
完璧な堕天使となった万能感をアスタロトは感じた。これで元、同胞を捕食し、己れの力とすることができるだろう。
アスタロトの虹彩は、蛇のそれへと化していた。




