幕間――堕天使アスタロト
かつての天界は、平和だった。
熾天使の長ルシフェルが、神に反旗を翻すまでは。
大多数の天使は、若く美しく魅力あるルシフェルの側へと着いた。
退屈を持て余していた天使たちは、この内乱を無邪気に楽しみ、戦闘で同族を殺す快楽を覚えた。
一部のグリゴリと呼ぶ天使の集団は、地上に降り、人と交わり、ネフィリムという悪夢の存在を産み出した。
天使と人のハーフであるネフィリムは、特殊な能力と残虐さを持ち合わせた巨人の姿で生まれてきたため、討伐の対象となった。
そんな最中、一人の座天使が堕天した。
アスタロトである。
この時の彼は、まだ力なき者だった。
天使の一軍を支配したいという漠然とした野心はあったが、ひ弱な体躯では剣を振るうことすら困難だった。
ある時、アスタロトは地上の熱帯へと降りたった。
そこで彼は、現地の捕食者と相対した。
密林から現れ出でたのは、全長九メートルに及ぶ大蛇、アナコンダであった。
恐怖に駆られたアスタロトは、逃亡のために翼を広げた。
が、身体が思うように動かず、飛び出せない。
百戦錬磨の巨大蛇は、その機を逃さず、アスタロトの右羽根に食らいつく。
「うわぁぁぁ、た、助けてくれっ!」
座天使の叫びも虚しく、アスタロトはアナコンダに巻きつかれ、頭から飲み込まれた。
どれほどの時が流れたのか、アスタロトには分からない。ただ、身体全体は大蛇の腹の中に収まり、後は消化を待つのみだった。
堕天使は自問自答する。
『私の天使としての生は、ここで終わるのか!?』
弱肉強食という人間界の摂理は理解している。
が、まさか人間界の捕食者に攻撃され、食されるとは考えてもいなかった。
アスタロトは天界最強の天使メタトロンに憧れていた。彼のように一軍を率いる将となって、神に認めらたいと思っていた。
神に助けを求めようとも、地上の名も知らぬ生物の胃の中では、どうすることもできない。
せめて、腹の中からでも攻撃できれば――
そこで、アスタロトはハッとなった。
エンリュミオンソードを発動すれば、助かるのではないか。
大天使クラスの天使ならば、誰もが使える。
アスタロトは早速、エンリュミオンソードを発動させる。
が、発動しない。
当然だ。
彼はもう、天使ではなく、堕天使なのだから。
ちょっと、話を煮つめたいので、差し障りのない幕間
を。一つにまとまるように調整してますが、なんか
間違い等、あったら、ご指摘下さい。m(_ _)m
何分、ストーリーが入り組んでいるので、たまにルー
のピアスって、右、左、どっちだったっけ?
って、凡ミスもあるかも知れません。
なるべく、更新したいのですが、会社の方が大変で
思うようにいかないので、滞っております。
申し訳。m(_ _)m




