幕間――ルー・フーリン強化週間 22
ラニーサは短杖を構え、フレイムアローを発動させる。
俺は、吸収の魔法陣で彼女が放った火矢を取り込む。
込めている魔力量で、この魔法攻撃が致死級の物と分かる。
おそらくは、魔法の暴発ということにして、俺を亡き者にする作戦のようだ。
次々とラニーサはフレイムアローを連続詠唱する。
エルフ族は総じて、魔力量が多い。
どうやら、彼女は魔力量の多さと火矢の連射能力を買われて、刺客となったと推測される。
呪いの所為で無限の魔力を持つ俺には、決して勝てない。
稀にランダムで、弱体化の呪いが発動することがあるが、この程度の相手なら、片手で十分だ。
すでに、二十発以上の火矢が俺の即席魔法陣に吸い込まれており、ラニーサの顔に焦りが浮かぶ。
王族相手に暗殺を仕掛けたのだ。多少、痛い目を見てもらわないとな。
でないと、示しがつかん。
まぁ、平たく言えば、見せしめだ。
俺は吸収したフレイムアローのエネルギーを一気に放出し、闘技場中央に巨大な篝火を出現させた。
熱気が一気に押し寄せ、俺と敵と審判は汗だくになった。
そこへ、俺は水弾を魔法で放った!
ドガァァァン!
篝火がラニーサの方向に向け、爆発した。
彼女は闘技場の壁に叩きつけられ、気を失う。
顔は、ひどい火傷で判別できない。
俺が狙っていたのは水蒸気爆発だった。
水が非常に高温な物質と接触することにより、急激に気化されて起こる爆発現象。
俺に触れたら、火傷するぜ。
なんてな。
さすがに顔の火傷は、かわいそうなので、後で回復呪文で治してやろう。
甘いな、俺も。




