幕間――ベルゼビュートの野望 3
「さて、アウルベアの剛力の能力、頂くとするか」
ニヤリと笑うベルゼビュート。
これで、パワーの面での杞憂は失くなるだろう。
「やりましたね、ビュート様。後は飛翔能力あたりでしょうか?」
ベルゼビュートは体格に恵まれているわけではない。少年と言った感じの細みの悪魔である。だが、身体から溢れ出る膨大な魔力と、彼の持つ特殊なスキルのお陰で、侮られずにいる。そして、ベルゼビュートのスキルは自身をカスタマイズできるものだった。
メキメキ!
森の奥から何かが樹々をなぎ倒しながら、突進してくる!
見ると、もう一回り大きいアウルベアであった。
ギュラギガガア!
血の匂いをかいで、怒り狂うアウルベア。
「もう、一頭いたのか?」
オセが双剣を抜き放つ。
「おそらく、番いだろうな。怒り狂ってやがる」
ニヤニヤと笑うベルゼビュート。
強い個体から得た能力の方が優れており、こっちのアウルベアは六メートルを超す巨体だ。さぞかし、パワーの方も期待が持てるに違いない。
新たな能力を得られる期待に、ベルゼビュートは油断した。
肉薄するアウルベアが締め技のベアハッグを、ベルゼビュートに仕掛けたのだ。
「しまった!」
アウルベアの荒々しい地獄の抱擁が、ベルゼビュートの骨を砕いてゆく。
「があっ!」
たまらず叫ぶビュート。
「ビュート様ッ!」
オセが梟熊の左足を狙うが、狂乱状態のアウルベアに蹴られ、近くの大木に吹っ飛ばされ、血を吐いた。
「ビュート様っ!」
ラスティ・ネイルを発動しようとしたレオナールが踏みとどまる。
ベルゼビュートを左右に振りながら、盾としてレオナールを牽制しているようだ。元々、アウルベアは知能が高く、人質の意味を理解しているのだろう。
「ケッ! クマ如きが調子に乗ってんじゃねぇぞ! 魔界の王になる、このベルゼビュート様に対して、頭が高いってんだ!」
突如、ベルゼビュートからサソリの尾が生え、アウルベアの右眼を刺し貫く!
ギョガギギガッ!!
たまらず、ビュートの身体を解放するアウルベア。
地面へ着地し、肩をコキコキと鳴らすベルゼビュート。
「骨を再生すんのに、結構な量の魔力を持っていかれたな。にしても、アウルベアのベアハッグなんざ、ダジャレにしかならないな。さて、お仕置きの時間だ、アウルベア」
さらに、サソリの尾をアウルベアの首に巻きつけたビュートは、六メートルはあろう巨体を地面へと引き倒す!
「頭が高いっつったろ?」
この伸縮自在のサソリの尾は、獅子頭とコウモリの翼を持つ魔獣マンティコアから奪ったものだ。
アウルベアとの戦闘に飽きてきたベルゼビュートは、手刀で首を刎ね、心臓を手掴みで取り出し、食らいつく。
ベルゼビュートの敵からスキルを奪う能力は、対象の細胞を体内に取り込むことで、力を己がものにすることができた。
鮮血に塗れたベルゼビュートは、美しかった。
ある日のスカル・キャッスル――
アスタロトの私室では彼と、水妖の悪魔ブロケルが居た。
魔界四大実力者の一人であり、大公位を持つアンドロギュヌス――それがアスタロトである。男であり、女であり、両方にも変化することが可能だ。
漆黒の長髪に切れ長のアメジストの瞳。左耳には炎竜を模したリングピアスが光っている。本日の出で立ちは赤と黒が入り混じった、ゆったりとした服装だ。
安楽椅子に座り、寛いでいるアスタロトにブロケルが話しかける。
アスタロトの従者兼メイドであるブロケルは水色の髪をツインテールにした少女の姿をしていた。
「そう言えば、ビュート様って、ギフトを持ってないんですよね?」
「あ奴はギフトを持ってないわけではないさ。対象の細胞を入手するという条件がある特殊なギフトと言えるだろうな。さしずめ、コピーキャットと言ったところか」
「ほええ、何かカッコイイですね。まぁ、アスタロト様には負けますが!」
苦笑するアスタロトに、ブロケルはキュンキュンするのだった。
今回は、ちょっとがんばった、
明日も仕事なのに。疲れすぎて寝れないから更新。
さて、マンティコア――王猫では、獅子頭でコウモリの羽根とサソリの尾の魔獣。
実際は、獅子のたてがみに老人の顔らしいが、不気味なのでパス!
あー、寝れないから音楽でも聴こうかな?
えっ、更新しろって?
更新は集中するので、hpが削られます。
スマホ執筆だから、バックアップ取れないm(_ _)m
以前の王猫データも、なろうに全然残ってなくて、心折られました。
アニメ ゼーガペインの曲、リトルグッバイ――最高です。
豹頭王――故・栗本薫先生のグイン・サーガに出てくる豹頭の超戦士――アッシのペンネーム――的には、アニソンNumberONEです!




