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幕間――ルー・フーリン強化週間 15
「フム、棲み分けか。移るのは構わんが、竜族全体が賛成するかは分からぬな」
と、ギルデガーラ。
ですよね〜。
ただでさえ、ガタイがデカイ竜だし、仮に引っ越すにしても大変だしな。このプランはなしかな。
まぁ、ダメ元で候補地くらいは提示するか。
「候補地として、アベル草原横の谷に無数の洞穴があります」
「良かろう。グリフォン族が、そこへ移り住もう」
へ?
マジですか?
良いんですか?
ガルフォン殿、男前っ!
「良いのか、ガルフォン?」
竜王が訊いた。
「不必要に争わずに済むのなら、その方が良かろう。それに、未来の妖精王に恩を売っておいて、損はあるまい!」
と、ガルフォン殿は俺にウインクして来た。
ああ、これが指導者の器なのだな。
俺も、見習わなくては。
(いつか、この借りは返させてもらいますぞ、ルー・フーリン殿! フフ、孫のグフの良い土産話になりそうじゃ)
こうして、俺の強化週間一日目は幕を閉じた。
げっちゃ、疲れた。
もう、懲り懲り。
って、言ってられないんだろうなぁ。
俺は、一つ大きなため息をつくのだった。




