幕間――ベルゼビュートの野望 2
「よし! 俺が右から回り込む。レオナールは左だ!」
レオナールに指示を出すオセ。
「パス!」
腕組みをしたレオナールがオセに目で合図を送る。一人で何とかなるでしょう的な目線だ。
「な、体調でも悪いのか?」
と、気遣わしげにオセ。
「今日のネイル、すっごく上手く塗れたから戦いたくないのよねぇ。オセ一人でも、事足りるでしょ?」
何とも気の抜ける理由である。
「そんなもの、塗り直せば良かろう!」
オセの声に若干、怒りが混じる。
レオナールの爪に対する執着は異常だ。
以前、マニキュアとペディキュアの違いが分からなかっただけで、ひと月も説教されたのだ。
見かねたベルゼビュートが、
「まぁ、今日はオセのお手並み拝見といくか」
部下には甘いベルゼビュートだった。
数十メートルは離れていたアウルベアが巨体に似合わぬ俊敏さで、レオナールの眼前へと躍り出る。
「ちょっと、オセ! アンタが早く仕留めないから、こっちに来ちゃったじゃない!」
ギュア!
アウルベアの右の剛爪がレオナールへ牙を剥く。
舌打ちしたレオナールが両爪に魔力を流し、腕を交差してガードする。山羊の両爪は一メートルもの長さへと変貌していた。
梟熊の攻撃を何とか凌いだレオナールが次の瞬間、愕然となった。
見ると、レオナールの左中指の爪がニセンチほど削られていたのだった。
「あた、あた、あた、あた、アタシの爪がニセンチも欠けてるっ!!」
どこぞの世紀末救世主っぽく、パニックになったレオナールが悲痛な叫びを上げる。
むしろ、それぐらいで済んで良かったのでは、とオセは思った。
レオナールの目がすっと、細まり凶悪な顔つきになった。
「……気が変わったわ、オセ。このクソグマはアタシが殺るわ」
獰猛な笑みを浮かべたレオナールが長く伸びた両爪を交差させ、アウルベアへと駆け出す。
右の剛爪を振るうアウルベアの上腕を走り、顔の右半分に爪で攻撃し、華麗な着地を決めるレオナール。
いきなり、アウルベアの顔半分が痙攣し、よだれを垂らす。
「アタシのギフト〈ラスティ・ネイル〉はいかが? 麻痺と毒の状態異常で身動きすら、できないでしょ。顔面神経痛で死ぬのはかわいそうだから、切り刻んでアゲル!」
レオナールが踊るように双爪を振るう。
腹部から右上腕から足の健から喉笛へと、ラスティ・ネイルが麻痺と毒のコンビネーションで攻め立てる。
数秒後、大地に崩れ落ちたアウルベアは絶命していた。
「もう、爪がこんなになっちゃったわ! やっぱり、人間界のネイルサロンで処置しないとダメかしらん?」
嘆くレオナールを呆れたように、オセとベルゼビュートは見つめていた。
やっちまいましたよ。前書きに本文書いて、書き直し――疲れたm(_ _)m
あー、酒飲みてぇ。やっぱり、悪魔だけにエル・ディアブロでしょうか?
スペイン語で、悪魔だったか。メキシカン・デビルとも言います。
レシピ的には、テキーラ(クエルボが望ましい)、カシス、ジンジャー、カットレモンとカットライムで、あら不思議、紫色の甘辛いカクテルが出来上がり!
うまいぞう!
そういや、ラスティ・ネイルもカクテルの名前でした。
カクテルの名前のスキル、うーん、オシャレ(笑)




