幕間――ルー・フーリン強化週間 11
大体、このぐらいか。
俺は魔力を蒼い炎と化し、ギルデガーラやガルフォンにも見えるように可視化した。
一気に噴出した俺の魔力は、小山一つ分くらいに留めた。
脅すには、このぐらいが丁度良いはずだ。
(この膨大な魔力を、あのケット・シーが放出していると言うのか!?)
何を隠そう、俺の魔力は潤沢だ。
グライアイの託宣では、呪いの副産物らしいが、俺にとって有益ならば、問題ない。
「まさか、これ程までとは!!」
ガルフォン殿が驚いている。
まだ、全魔力の千分の一も放出していないと言うのに。
(此奴の正体は、妖魔ではないのか!? 妖精の中の魔力のバランスが崩れると、妖魔化すると誰かが言っていたな)
ニーズヘグは、竜種の中でも、厄介な部類に入る。
なぜなら、彼らは状態異常系のスキルである麻痺・毒・睡眠を操るドラゴンだからだ。
俺のまとっているマントとポンチョの中間装備は、あらゆる状態異常に耐性があるし、全属性に対応した優れものだ。
師であるクソジジ……こほん、マナナン・マクリールに贈られたものである。
実をいうと、一番苦手な師匠でもある。
その昔、俺が五才の頃、魔力の塊を撃ち出す呪文一つを覚えさせて、一週間、妖魔の森に放置した前科がある。
幸い、一週間のサバイバルを生き抜いた俺は戻って、すぐにクソジジイに魔力弾を撃ち込んでやった。
師匠は涼しい顔で、『弟子の成長は早いものだな』と、のたまいやがった。
さらに魔力弾を撃ち込んだ俺に、『成長が早いのも考えものだな』などと、言いやがった。
おかげで、魔力操作は師匠であるマンナン――違った。マナナンよりも上手に扱えるようになった。
ざまぁ。
スパルタ英才教育を受けた俺は、わずか数年で、すべての師匠に、免許皆伝をもらった。
超ざまぁ。
俺は自身の能力に、自信を持っているが過信ではないと思う。
ただ、俺の欠点を上げるとすれば、父上のことが絡むと沸点が低くなり、周りが見えにくくなることだろう。




