幕間――ルー・フーリン強化週間 10
プシューという気の抜けた音が聴こえた。
これは、ギルデガーラの火炎を俺の水属性の魔法陣が相殺した音だ。
「バカな、我のブレスを相殺した、だと!?」
竜王の顔が驚愕に彩られる。
「貴様っ! 一体、何をした!?」
「竜王殿のブレスを無効化させるには、攻撃が早かったので、水属性の魔法陣で相殺させてもらったまでのこと」
「バカな、魔法の相殺などという高等技術をケット・シー如きが、使えるものか!」
「原理さえ分かれば、魔法の相殺やキャンセルは、そう難しいことではないさ、御老体」
「ぐぬっ、万の魔法を操るマナナン・マクリール級の魔法の使い手とでも言うのか!?」
「その通り。マジック・マスターたるマナナン・マクリールの一番弟子が、この俺だ!」
俺はギルデガーラに、満面のドヤ顔をしてみせる。
「戯れ言を申すな!」
やれやれ。
これでも引かないか。
「竜王ギルデガーラ――物事には、例外がある。信じられぬだろうが、貴殿程度の魔力では、俺をいさめることはできぬ」
必ずしも魔力の大小で、勝敗が決まるものではない。が、魔道師ならば話は別だ。
魔力が潤沢に使える方が勝つ。
即ち、俺だ。
「……何を根拠に、そのようなことをのたまう?」
「では、俺の魔力を可視化できるようにしてやろう!」
俺は、封印のピアスから強引に、膨大な魔力を引き出した!




