炎帝竜のピアス 23
炎帝竜の六千度のブレスが、スカル・キャッスルの上空を焼き焦がす。
ベルゼビュートは炎の波をかい潜り、クリムゾンの横っ面へと、フェンリルの爪撃を叩き込む!
アウルベアの剛力と相まって、炎帝竜に多大なダメージを与えることに、初めて成功した。
下で見守るレオナールとオセも、快哉を叫ぶ。
「へへっ、炎帝竜のブレス――見切ったぜ」
確かに六千度の炎は脅威である。
しかし、新たな身体強化に目覚めたベルゼビュートの敵ではなかった。炎への耐性も、若干上がっている。直撃さえ避ければ、どうということはない。ファイヤードレイクへの勝機が見え、キメラの悪魔がニヤリと笑った。
「舐めるなよ、小僧!」
クリムゾンの蛇体に、黒い紋様が浮かび上がる。ファイヤードレイクが本気になったのだ。
「我が最大火力は、一万度を超える。お遊びは、ここまでだ」
(なっ! 六千度が限界ではない、だと!?)
ベルゼビュートを驚愕の事実が、打ちのめす。
クリムゾンにとって、今までの戦闘は単なる小手調べだったのだ。
ファイヤードレイクの身体から、膨大な熱波が発せられた。
「また、消し炭にしてやる。燃え死ね、ベルゼビュート!」
クリムゾンはベルゼビュートの眼前に躍り出ると、一万度のブレスを放出したのだった!




