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幕間――メタトロンの真実 10
(何ということだ。暗黒竜の正体が、私と同じ神候補の天使だったとは!!)
しかも、クルワッハを目覚めさせてしまったのはメタトロンである。
もしかして、クロノスとは高次元の悪魔なのではないか?
そういう疑問が湧いてくる。
かつて、神の寵愛を受けていた天使が居た。
名を、ルシフェル――金星の光と冥王星の闇から創造された天使であり、孔雀の羽を有するタウス=メレクと呼ぶ存在だった。
熾天使の長であり、八枚の羽の持ち主で金髪黒眼であった。
絶対的なカリスマで、天界の三分の二の天使を率いて黄金宮殿へと攻め入ったがミカエルとメタトロンが指揮する軍団の前に、敗北を喫した。地上へと逃れた堕天使らは、神への信仰を捨て去り、悪魔へと変貌し、天界に復讐を誓うのだった。
堕天使となったルシフェルは、ルシファーと改名し、さらに敵対者を意味するサタンを名乗り、魔界に千年王国を建国する。
すでに地下には、古代の魔神たちが住む暗黒界が存在していたが、互いに不可侵とすることで共存のシステムが暗黙の了解であるかのように創られた。




