155/631
幕間――ルー・フーリンの誕生 7
「それは、私が許さない! 息子の命も大事だが、エディン――君を失ってまで、我が子を得ようとは思わない……」
唇を噛みしめるクー・フーリン。
母か、子か。
出来得るなら、両方救いたい。
それで、自身の命を失くすとしても妖精王は後悔しない。
まだ見ぬ我が子と、最愛の妻を守れるのならば是非もない。
「そうだ。エディン――あきらめるんじゃねぇ! きっと、良い方法があるはずだ。生きてる限りは足掻くもんさ」
麗子がエディンを勇気づける。
すべての魔法を駆使して、彼女を救ける。子供も救ける。それが、ティル・ナ・ノーグに送られた意味なのかも知れない。
「そうだな。精々、足掻いてみるさ。だが、もしもの時は、息子を――ルーを、優先してくれ。頼む……」
そこには、母親の顔をした一人の女性の姿があった。
「ちくしょう! 母親の自覚出まくりじゃねぇか。安心しな。二人を救けるために、魔女スカサハが全力を尽くしてやんよ!」




