炎帝竜のピアス 15
「我が居場所は、アスタロト様の左耳のみ!」
クリムゾンの拡散ブレスの温度が上がる。
千二百度から、一気に二千度まで上昇し、耐えようのない熱気がベルゼビュートを襲う。
滝のような汗が滴り、金髪緑眼の悪魔がふらついた。
(クソがっ! 熱波だけで、息ができねぇ!)
反撃に出たベルゼビュートの一本角から、蒼い雷撃が炎帝竜に向け、放たれる。
クリムゾンは微動だにせず、蒼雷の一撃を受ける。
「クハハ、これしきの雷撃で我を足止めできると?」
直撃を受けたクリムゾンだが、どこ吹く風だ。いささかのダメージも負っていないのだろう。
「チッ! レベンドーラの雷撃も効かねぇのかよっ!」
(火竜とは言え、奴が吐くブレスにも限界があるはずだ。なら、いっそ六千度の炎を吐き出させて、ガス欠を狙うか!)
竜種は体内に火炎を吐き出す燃料を貯めておく器官がある。
ガソリンのように揮発性が高く、俗に火炎袋と呼ばれており、ブレスを吐く時に、牙を擦過させて火打ち石の代用としているのだ。
「万策尽きたようだな。大人しく、バーベキューとなるが良いわっ」
「フン。ご自慢の六千度のブレスは、どうした。俺様を黒焦げにするなら、全火力で来な!」
「良かろう。ファイヤードレイク最大のブレス――その身で、とくと味わえっ!」
後で、書き足します。




