猫とピアス 5
突如、バック・ベアの眼球の周りに無数の牙が生えた。
牙は触手のように伸び、黒猫を拘束しようとするも、とんぼを切り、難を逃れる。
追撃の触手もルーのフラガラッハで、左右にいなされる。
ルー・フーリンの魔剣フラガラッハは、古代ローマの歩兵用に開発されたグラディウスに似た両刃の短めの剣で、全長50センチ程度の長さである。
敵にすれば、オモチャのような剣だが殺傷能力は高く、ドラゴンの鱗すら斬り裂く。おまけに自身の魔力を斬撃にして、飛ばすことが可能である。
魔力伝導率の高いミスリルの剣身に、古代の魔道文字ルーンを刻んだ業物だ。
魔剣フラガラッハは鍛冶の神ゴブニュによって、鍛え上げられた一品なのだった。
そうとは知らぬバック・ベアは、フラガラッハを見て哄笑する。
「そのようなオモチャの剣で、我に戦いを挑むなど笑わせる」
「問題ない。この魔剣フラガラッハは鍛冶神ゴブニュによる業物であり、ドラゴンの鱗すら安々と斬り裂く代物だ」
軽く、フラガラッハを一振りする黒猫。
ドラゴンの鱗の硬度はダイヤをも遥かに凌ぐ。これに傷をつけられる可能性がある金属は、オリハルコンか、もしくはアダマンタイトであろう。ヒヒイロカネは複雑な工程を踏まないと、強度を維持できないので、黒猫剣士的には除外だ。
「最も、貴様のような下級妖魔を相手にするにはもったいない武器だがな」
「生意気な猫め! これでも食らえ!」
バック・ベアの蛇体の口から酸が発射され、黒猫はバックステップで回避する。
避けた方向にあったブルドーザーの運転席が、酸によって溶かされて行き、周囲に煙が立ち込める。
(強酸による攻撃かっ! 下級の妖魔と侮っていたが多少、認識を改める必要がありそうだ)
クールな黒猫は、バック・ベアに対して警戒レベルを一段階上げた。
やっと、1万字越え。がんばれ、俺。
何か今から、ジュリア・フォーダムのマンハッタン・スカイラインが聴きたいな。
寝る前は、やっぱり女性ボーカルのバラードかな。とにかく、声がキレイな歌手に惹かれます。
男性なら、ラスカル・フラッツですかね。
癒やされます。




