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幕間――壬生狼と剣獅子

 

 当時、サブナックは一介の名もなき悪魔だった。

 剣の腕を磨き、魔界最強の剣士となる。

 それが、剣獅子の夢であった。

 ギフトを駆使して戦う戦闘は、サブナックにとって苦痛以外の何物でもなかった。

 獣人系の悪魔にはギフトが発動しにくく、サブナックは剣技にも戦闘にも限界を感じていた。

 そんな中、人間界に召喚された。

 彼を喚んだのは幕末の志士、沖田総司であった。

 突如、現れた怪異に総司は二段突きを放った。

 そのあまりの技の冴えに、サブナックは総司に師事を乞い、天然理心流を修めるべく修行に励んだ。

 サブナックと契約することによって、総司は二年間の延命を約束された。


「いつ来ても、不思議な空間に思える」


 総司がサブナックと共に、亜空間へと足を踏み入れていた。

 狼心幽界(ろしんゆうかい)――ここならば、労咳(ろうがい)の病に冒された総司も健康でいられた。

 が、現実世界の総司は上半身を起こすことすら、困難な状態だった。


「そうだな。某の能力で創った亜空間だが、仕組みは我ら悪魔でも分からぬよ」


「そうか。サブナック――今日は、私の最大の技を受けてもらう」


 総司の命の灯は、まもなく消える。

 これが最後に、サブナックに伝授できる剣技だ。

 剣獅子も、それを察してか神妙な面持ちで、総司から技を吸収しようと目を離さない。


(労咳にさえかかっていなければ、日ノ本(ひのもと)最強の天才剣士として名を馳せたであろうに)


 総司の才能をサブナックは惜しんだ。


「望むところ。さあ、天然理心流の奥義――見せてもらおうか」








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