幕間――イルマと獅子と赤帽子 5
(バカな! あの一撃で、手がしびれただけだとっ!?)
「な、なかなかやるようだな。では、私も本気を出さざるを得ないな」
グフという怪物を倒すには、イルマ最大の必殺技しかない、と彼女は判断した。
普通のレッドキャップと侮っていたが、ダンジョン最弱のゴブリンが、ラスボスとして現れたかのような衝撃だった。
イルマは自身の頬を張り、気合いを入れ直す。
左手から雷撃魔法を宙に放ち、ウォーハンマーを叩きつけると、先端部が帯電状態となった。そのまま、戦鎚を振り回しながら、グフ目がけ雷霆の一撃を繰り出す!
「喰らえっ、必殺〈ミョルニル〉!」
一瞬、グフは焦った。
ミョルニルの威力を危惧したからではない。背後にメリーの気配を感じたからだ。今、イルマの攻撃を避ければ、メリーは致命傷を負う。
斧リサを取り出す暇もなく、バトルアックスで受け止める方針は却下だ。
「ふんぎぎぎぎぎぎっ!」
何と、グフは両手でウォーハンマーのヘッドを受け止めた。
ミシリと音がし、グフの顔が苦痛に歪む。
「バカな! 私の渾身の一撃を素手で受け止めた、だと!?」
さらなる驚愕が、イルマを打ちのめす。
レッドキャップは戦闘的な種族だが、決して強くはない。まして、ドラゴンの竜鱗すら穿つ、半神半人の一撃だ。無事で済むわけがない。
イルマはレッドキャップの姿をした妖魔と、相対しているのだと感じた。もしくは、ティル・ナ・ノーグの結界をくぐり抜けて来た悪魔なのかも知れなかった。
ゴゴゴゴゴ!
その時であった。
草原のほど近い場所に、赤い魔法陣が浮かび上がり、中から蒼白い馬に騎乗した獅子頭の剣士が現れ出でた。威力偵察を任されたサブナックである。
愛馬ペイルカイザーは、蒼白の馬体を持つ魔獣だった。テイムした時、サブナックはこの駿馬に蒼白き皇帝と名づけ、今回同行させた。ティル・ナ・ノーグは広大と聞いていたので移動手段として、カイザーを持ち込んだ。
謎めいた妖精界だが、情報は色々な所から獅子の耳に入って来る。
妖精王クー・フーリンは槍の名手で、メトセラというエルフの長命種であること。
人間界に侵入した同胞、グラーシャ・ラボラスが妖精王の息子、ルー・フーリンに敗北し、使い魔となったこと。
真偽の程は分からないが、それを探るのがサブナックの役目だ。
そして、まだ見ぬ強敵にまみえることを期待し、獅子はティル・ナ・ノーグの大地を踏んだのだった。
今日は、アニメ AIR の 鳥の詩
聴いてました。夏の曲かな。久々にマック
行って、1300円も使ってもうた。一食の値段
にしては高い。
ブクマ、評価お待ちしてます。
執筆の励みになるので、なにとぞ
お願いいたします。 m(_ _)m
今日は、洋画 マトリックスのTシャツ
着てました。
キアヌなら、リプレイスメントって
映画がオススメです(≧∇≦)b




