幕間――イルマと獅子と赤帽子 3
「ワザモノ? ああ、この斧のことけ?」
グフは業物が、優れた武器を指す言葉だと理解していた。というのも、斧リサが自身を業物だと宣伝しているからだ。何でも、彼女の中には精霊の魂が封じ込められていると言う。
魔剣や聖剣に、良くまつわる話で強力な武器を造るために聖遺物を混入したり、竜の血で剣を鍛えたり、呪いによって斬れ味を上げたりと様々な逸話がある。
中には、生きた精霊や悪魔を剣の中に封じることで、武器の能力を上げたりすることもあるようだ。その上、斧リサには風の精霊の加護が標準で付いていた。代わりにリサ自身の記憶の一部が失われている。おそらくは、それが代償なのだろう。
「そうだ。それをどこで、手に入れた?」
グフの武器が斧リサと確信したイルマは、鋭い視線で赤帽子を尋問する。
レッドキャップという種族は、とにかく残虐で死体から武器を奪い取るのが普通だ。
斧リサは、グリフォン族の長老ガルフォンに献上された品だ。であれば、グフがガルフォンを殺害した可能性も出てくる。
卑怯が専売特許のレッドキャップなら、集団でガルフォンを取り囲み、麻痺などの状態異常系のスキルを使うことで、ガルフォンを無力化したのかも知れない。
とは言え、グリフォンは最強の魔獣の一角である。レッドキャップ如きに遅れを取るはずはない、はずだ。
ガルフォンが無事で、斧リサが回収できるのなら、その方が一番良い。
とりあえずは、目の前の赤帽子の出方次第だ。
「これは、爺ちゃんにもらっただ。オラの宝物だな」
グリフォン族の長が、レッドキャップに武器を渡そうはずはない。
やはり、何らかの卑劣な手段で斧リサを入手したのだろう。
となれば、眼前の赤帽子は敵だ。
敵認定されたグフは、不思議そうな顔で首を傾げる。
「どうかしただか?」
黙ったイルマを心配して、グフが声を掛ける。
「この、大嘘つきめっ! その業物は、グリフォン族の長、ガルフォン殿に献上した物だ。どうやって、奪ったかは分からぬが、このイルマが貴様を成敗してくれる!」
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