表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

117/631

幕間――ルー・フーリンの誕生 4

 

 影の国スカレイノから、麗子が魔法による転移で天幕の中に現れた。

 床は血だらけで、その中心に喉を裂かれたルネが倒れており、エディンはひどく取り乱し、子供のように泣きじゃくっている。


「麗子っ! ルネが、ルネが死んでしまう。早く、回復魔法を……」


 エディンは、麗子が多種多様な魔法を使えることを知っている。妖精の回復魔法キアンを教えたのは、彼女だ。出藍の誉れで、麗子の回復魔法はすでにエディンの技量を超えていた。

 ロビアタールの指導で、高濃度の魔力を練られるようになった麗子こと魔女スカサハは、髪が紫色に変色しており、瞳にもその兆候が現れている。

 漆黒の魔道師のローブが麗子を熟練の魔女に見せていたし、貫禄を感じさせた。魔法を行使することによって、麗子の中に自信が生まれていた。

 状況が切迫していると感じた麗子は、即座にクリーンの魔法でエディンを取り巻く空間内を清潔にする。

 ルネを近くにあったサイドテーブルに乗せ、回復魔法を行使する。


「キアン!」


 回復魔法が効かない。

 おそらく、もう死んでいる。

 しかし、蘇生させることはできるかも知れない。

 死者蘇生の呪文が存在するのだから。

 だが、それは禁呪であり、今のスカサハの腕では無理であることが分かっている。

 その上、死者蘇生呪文ラザロは下手をすると命を落とし、不死者の王(ノーライフ・キング)リッチへと変貌する可能性もあった。代償は命であり、最愛の人を蘇らせようとしてリッチとなってしまった魔道師も、多数存在する。

 痛々しいルネの喉の裂傷を、麗子は赤いペイズリーのバンダナを巻いて、覆い隠した。


「ディアン・ケヒト!」


 覚えたての回復最上位呪文を唱えるスカサハ。

 ケット・シーの命を繋ぎ止めるために、やれることは何でもやる。

 黒猫メイドを死なせない。

 エディンが見守る中、回復魔法を重ねがけする麗子。


「うわぁぁぁっ!」


 そんな中、エディンを陣痛が襲ったのだった!













評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ